Abandon

普段とは違う,感官が異様に研ぎ澄まされる朝.


眼は周りの世界のサンプリングレートを上げ,
耳は冷たく響くファンの音を鮮明に捉え,
皮膚は自らにぶつかる空気の流れから,空間の広がりを感じとる.


昨日からパソコンに向かい,ひたすらキーボードを叩くことを繰り返して何時間経っただろう.


誰かの怒りをかったときのように延髄は緊張状態に入り,
反面,前頭葉は開放感を喜ぶわけでもなく,部屋の外からわずかに感じられる夜明けをただ迎え入れる.


日常はループしながらも微妙なコントラストを描く.


日常は異常.
時間の海に浮き上がりながらも沈みゆく.